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The Hiroshima Pictures、8月27日(土) [日本紹介・日本文化]

The Hiroshima Picturesというタイトルの番組が、チャンネル4で放映された。BBCのHiroshimaはまともに見られなかったが、随分アメリカ寄りに偏っていた、という話を聞いたから、これもそうなのかと思い、余り期待せずに見ていた。

が、結果から言うと、「どこの国の政治的臭も排除」されており、「原爆の悲惨さを後世に伝える」という意味において、良く出来た作品であった。

話は、広島原爆記念館に収蔵されている「原爆体験者が見た世界の絵」を中心に展開する。何枚かの絵を、当時の原爆直後の様子として紹介しながら、時折、それらを描いた数人にインタビューし、絵の背景、つまり、彼等が原子爆弾炸裂時に何を見たか、どういう思いでそれをを描いたかを、淡々と映像で捉えて行く。原爆を落としたアメリカへの恨み、戦争への恨みなどは全く折り込まれていない。

爆心で、暑さのあまり防火用の水槽に頭を突っ込んだまま死んでいる死体の山。川に幾重にも折り重なって浮かぶ死体。血を流して歩き回る人々。原爆から2時間後に起こった火事で、焼かれる人達。毎日毎日川を流れ、海へと流されて行く死体。山積みにされて火葬される死体。子どもを抱いたまま黒こげになった母子。
原爆を生き延びた生存者の目を通して描かれる世界が、目の前に広がる。

番組の中で一番長く登場したのは、74歳になる男性。彼は、倒壊した小学校の下敷きに生きながら手を挟まれて動けなくなった女の子、そして、倒壊した家の間の瓦礫の隙間に埋もれた男の子の絵を描いた。
爆発直後、彼は、瓦礫に手を挟まれて動けない女の子に遭遇し、何とか助けようとする。火事の火の手はすぐそこだ。ぐいぐいと、女の子を引っ張る。ついに女の子が「痛くて耐えられないからやめて」と言う。「もう、助けられない」と、諦めた彼がした事は、女の子の名前を聞く事だった。か細く発せられた「よしもと」という名を何とか聞き取って、その場を後にした。
その後、瓦礫に埋もれた男の子を見つける。男の子は、瓦礫から、灰で真っ黒になった顔だけが見えていた。彼は、何とか助けようとするが、瓦礫はびくともしない。またしても火の手はすぐそこだ。「ごめん、助けられない。泣くんじゃないぞ。」と必死で真っ黒な顔を拭ってやり、彼は今度もそこを後にした。
その後、奇跡的に生き残った彼は、彼等を見殺しにした罪の意識に苛まれ、何が起こったかを後世に残す為に絵を描く事を決心する。「見殺しにした女の子の事を覚えていたい」、その一心で、亡くなった少女の通っていた小学校に、亡くなった「よしもと」さんの資料がないか、探してくれるように依頼。そして、小学校の手助けの元に、彼女の名が小学校の戦没者名簿に載っているのを発見、小学4年生の生徒であった事を突き止める。その時の「よかったね。覚えていてもらえてたよ。」という、彼の言葉が印象的だ。
それが縁で、その小学校に依頼され、自分の描いた絵を見せながら、小学生に、その時広島に何が起こったかを説明する彼。真剣に聞く小学4年生。
番組は、「これらの絵は、生存者が忌わしい思い出を克服する為に、そして、何が起こったかを後世に伝える為に描かれた。」とだけ言って終わる。

戦後生まれの我々には、想像でしかない世界。そして、再び現実のものとはなって欲しくない世界。言葉で状況を説明するのは限界がある。しかし絵にすれば、すんなりと当時の地獄絵が頭に入る。子供を失った親の悲しみ、親を失った子の悲しみ、友達を、先生を、親戚を失った人々の悲しみ。死体なんて、何でも無いように感じ、毎日を必死で生きる日々。残されたのは、心の後遺症に白血病。顔が硬直し、胃に重い物を感じ、眉間に皺が寄るような状況が、容易に想像できる。「嗚呼こんな事、もう繰り返してはならない、絶対にならないんだ」、そういう思いが、ずっしりと詰まった絵に、しばらく言葉がでなかった。

今年の8月15日の直前、欧州数カ国で発行のフリーペーパー「メトロ」スコットランド版に、
「日本の原爆投下は素晴らしかった。あれのおかげで、日本に戦争を止めさせられたし、又、原爆を投下したらどうなるかの人体実験データがとれた。人類全員で投下に感謝すべきだ。原爆という、あんなに素晴らしい発明ができるなら、スコットランドの子供は、皆、頭の軽いフットボール選手になろうとせずに、物理学者を目指すべきだ。」という、思慮に欠けた、恐るべき短絡的な投書が載った。

次の日から、その投書への非難が沸き起こり、
「原爆実験は、マンハッタン計画だけで十分だったはずであり、原爆投下は、冷戦時に米国がソ連を牽制する政治的な意味しかもっておらず、全く不必要だった。」
「私は物理学者だが、人体実験の為の原爆投下は必要なかったと思う。」
「被害者の人達が『原爆を落とされてよかった』と思う訳が無い。」などという意見が多数寄せられた。

対独戦争に勝利したスコットランド人にとっては、日本など、遠くの敗戦国の島国に過ぎず、原爆と聞いても大したインパクトを持たないのかもしれない。だからこそ、最初のような信じられない投書が舞い込むのだろう。だが、こういう事情も他人事ではない気がする。

というのも、日本の現代の子供達はどうだろうか、と心配になるからだ。
信じられない程親米的な世の中にあり、日中戦争に始まって原爆に終わる、あの大戦争の経緯を詳しく教えられていない中、「米国の原爆投下は日本が降伏する為に必要で、良い事だった。」と信じる子供がいてもおかしくはない。
あの時代、日本は物資もなく、国民も疲弊しており、通常の爆撃だけでも十分降伏し得る状況だったはずなのだ。皇居が爆破されれば、もうお仕舞いだ。あの原爆は、本当に必要だったのか。
私は、「原爆は不必要だった」と信じている。

核爆発なぞで人が大量死することなぞ、如何なる理由でもあって良いはずがないし、あるべきではないと思うのだ。


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コメント 6

ポポチビ

私も、原爆は不必要だったと思っています。私自身近代史を詳しく習った記憶がないのですが、自分自身で勉強して子供に伝えていきたいと思います。
テレビでアメリカの学校の授業で、大多数の子供達が「原爆投下は正しかった。」と言っていましたが,原爆投下後の写真等をみて絶句していました。
文字や聞く事だけの知識より、見て学ぶ事が大切なんだなと思ったのでした。
by ポポチビ (2005-08-28 10:19) 

usagi

BBCのJV Dayのページにも同じような事が書かれていました。原爆があったからこそイングランドに今の平和があり人類の未来があるというような内容。こういうコメントを書いてしまう人が居いるという事、分からないではない。だからこそ、その1つ1つに返信し対話し続ける意義を感じます。日本人の戦没者の3分の2は最後の1年に集中しています。約200万人。私も原爆投下の必要はなかったと思います。そんな事ができるようにする洗脳や精神状態は恐ろしい。してしまった人が自己防衛的に正当化してしまうという人間の心理の仕組み。

原爆は人類のトラウマの1つ。是非に触れる場合は他の虐殺や殺戮も同じように取り上げて欲しいとメディアに対して思います。

チャンネル4の番組はみれませんでしたが、是非に触れず事実を提示するような番組や展示は賛成です。
by usagi (2005-08-28 18:36) 

M

広島・長崎の悲劇は人類間で語り継がれていくべきです。時に科学の進歩は、人類にとって進歩と後退を導きます。どうか時の権力者に擦り寄ることなく科学者の方は真理の解明に努めてください。北朝鮮・イラク・インド・パキスタン・イスラエル・中国・米国・ロシアなども核兵器を持とうとしている、または持っています。核兵器を維持する、お金があるなら例えば石油を使用しなくても走る車を開発しなさい。多数飢餓に苦しんでいる国・失業に悩む国は自国民を救いたまえ。米国は、ひとりよがりから脱すべきだ。核の平和利用を望む。
by M (2005-08-28 20:55) 

どらとら

ポポチビさん、コメントありがとうございました。
そうなんです、耳で聞くより、絵や写真で見ると、あまりの凄惨さに、おっしゃる通り「絶句」しますよね。戦争には常に、2つのストーリーがあります。攻撃した側と攻撃された側。日本と中国で溝があるのも当然です。米国と溝があるのも、また当然でしょう。米国の教育で「原爆は正しい」と言う姿、一部の日本人が「南京虐殺はなかった」と叫ぶのと重なります。
おっしゃる通り、なにはともあれ、被害国として、「核兵器は人類に何をもたらしたか」を次世代に伝えて行くのが、我々の義務でしょうね。

usagiさん、コメントありがとうございました。
「原爆は人類のトラウマの1つ。是非に触れる場合は他の虐殺や殺戮も同じように取り上げて欲しいとメディアに対して思います。」はその通りですね。核兵器だけでなく、ウガンダの大量殺戮、ナチによる大量殺戮…。人類っていつになっても争ってばかりです。殺戮に何の意義が有るのかを問い、考えてもらうような番組作りで、別方向に洗脳されるよう(非戦闘の方向へ)、メディアには頑張って欲しいものです。

Mさん、コメントありがとうございました。
「時に科学の進歩は、人類にとって進歩と後退を導きます」は、興味深いコメントですね。
多くの人は、「科学の進歩=人類の進歩」と信じていると思います。ですが、本当にそうなのでしょうか。物質的な豊かさと共に、精神的な豊かさ、感受性、思いやり、そういった、本質的な物が失われ、実は後退しているのかもしれませんね。考えさせられます。
「核兵器を維持するお金があるなら、石油を使用しなくても走る車を開発しなさい。多数飢餓に苦しんでいる国・失業に悩む国は自国民を救いたまえ。」はその通りと思います。核開発の根底には、米国銃社会と同様、「やられる前に、ぶっつぶす」的な防衛作戦があるのでしょうね…。全世界が本当の意味で平和にならないと、きっといつまでたっても核開発は続くのでしょう…。
「米国は、ひとりよがりから脱すべきだ」は、大きく賛同します。
by どらとら (2005-08-28 22:09) 

ナッツ

広島、長崎の悲劇は、世界中の人達に同じ事を繰り返さないように伝えていくべきだと思います。前に、アメリカでそう思った人達がいていろいろ資料を取り寄せ、いざ公開とうい時、政府から圧力をかけられ止むを得ず中止をしたというニュースを見たことがあります。それに、ブッシュ父が起した湾岸戦争、息子が今、行っている戦争。全て、目で覆ってしまう部分は、アメリカに住む一般の人々には報道されません。全て美化したところしか放送しない。だから、今回のような戦争に賛成したり、強いアメリカを主張する国家に酔っている国民が多いのではないでしょうか?また、国家の為に自分の家族を犠牲にしてしまった家族の叫びに蓋をしてしまうのもアメリカなんです。CBSドキュメントでそう放送しているのを見ました。すごくガッカリです。

また、この前「笑っていいとも」での100人アンケートで「今、世界のどこかで戦争をしてるのを知らない人」という問題を出した芸能人がいました。そこで知らないと答えた人が10人・・・・「アホかお前ら!」とその芸能人は言いましたが私も同じ事を思いました。

毎日同じ内容をどこのチャンネルでも放送する枠があるのなら、少しはこのような人たちが減る内容を放送しても良いのでは?と思います。CBSドキュメント、私は好きな番組なのですが深夜に放送しているのでなかなか見ることが出来ません。こういう番組こそもっと早い時間に放送した方が私は良いと思うんですよね・・・・違いますか?
by ナッツ (2005-08-28 23:41) 

どらとら

ナッツさん、コメントありがとうございました。
「アメリカのメディアは美化したところしか放送せず、アメリカに住む一般の人々には報道されません」は、納得ですね。米国の報道、非常に偏ってますから。移民の国が結託するには、報道でナショナリズムを鼓舞するしかないのでしょう。必要以上に、殺人事件の報道をして、国民に危機感を煽り、「こんなに危ないのだから、銃を買わなくては」と思わせるのも、米国メディアの特色です。
私は、CBSドキュメントという番組を知らないのですが、いわゆる、ゴールデンアワーにやっている番組の内容の低さに、たまに辟易する時があります。
by どらとら (2005-08-29 02:06) 

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